
釜石線でそのまま花巻に出て、予約を取ったホテルがある北上まで直行する予定であったが、時間に余裕があったので、途中の遠野に立ち寄った。
駅のすぐ側に観光協会があり、そこでレンタサイクルをやっていたので、これはいいと思い早速自転車を借りた。そのとき15時を過ぎ、この時期だとウカウカしていると日が暮れてしまう時刻なので、そこの職員に1ヶ所見るならどこがよいか尋ねたら、伝承園だと答えた。
伝承園は、駅から4kmほど離れたところにある。自転車なら約15分ほどだろうか。市街地を抜けると田舎の風景が広がる。日暮れまで時間がなかったのでともかく急いで伝承園に向かった。
遠野は、柳田邦夫の『遠野物語』の功績のお陰もあって民話の里と呼ばれ、江戸時代くらいの一般庶民の生活跡などが多く残されている。伝承園は、昔の住宅などを集め、そのころの暮らしぶりを紹介している、今流に言えば小さなテーマパークである。納屋には干し柿が吊るしてあったり、実際に伝統工芸などを作っていたりしている。家の中にも入れ、当時の暮らしぶりを感じることができた。また、テルテル坊主みたいなおしらさまがびっしり飾ってある部屋もあり、そのおしらさまの服に願い事を書くこともできる。僕も書いたが、何を書いたか忘れてしまった。
伝承園を見学している途中で日が沈み始め、山中の町だからか、薄暗くなってきたのと同時に急に冷え込んできた。遠野に着いたときはポカポカするくらいの陽気だったのに。
薄暗くなって寒くもなってきたが、折角来たのだから近くにあるカッパ淵にも行ってみた。カッパ淵は常堅寺の中にあり、その昔お寺が火事になったときに火消しに協力したとか。カッパは駅前のポストの上や伝承園の前にもいて、遠野を象徴する動物である。そのカッパ淵は、薄暗くなったせいもあって何となく不気味で、今にもカッパが出てきそうであった。
その後、大急ぎで駅前に戻って自転車を返したのだが、返している間に列車は行ってしまった。そのときはもう外は暗くなっていて、震えるくらい寒かった。しかし、駅の待合室にはストーブがたかれていたし、テレビもあったので、難なく次の列車が来るまでの1時間半を過ごすことができた。ローカル線で1本列車に乗り遅れると大変だ。そういう場所では余裕を持ってまわることを強く奨める。
ということで、遠野はゆっくりまわることができなかった。まだまだ見るべき場所があり、もう1度訪れたい土地である。