
芦野公園駅から津軽鉄道に乗った。その列車の乗客は僕を入れて2人。
加速時にガーというエンジン音が聞こえてくるが、それ以外はカタンカタンというレールの音しか聞こえない。そんな静かな車内に、リンリンという虫の鳴き声が聞こえてきた。最初は外からだと思ったが、よく見ると運転席の後方上に虫かごがあり、そこにスズムシがいたのだ。
津軽鉄道では、このくらいの時期になると「すず虫列車」と称し、車内にスズムシを乗せて走る。また、夏には風鈴をつけて走る「風鈴列車」、冬にはだるまストーブを登載している「ストーブ列車」(これは知っている人もいるだろう)が走る。乗るだけで季節の趣を感じることができる鉄道である。
反対方向の列車は大勢の高校生で賑やかだったが、僕が乗った列車にはほとんど乗客はいなかった。すでに日は沈んでいて、建物が密集しているわけではないので外は真っ暗、車内は人気がないところでリンリンというスズムシの鳴き声、田舎と秋の寂しさを同時に感じた。
五所川原で五能線に乗り換えるのだが、次の列車まで1時間以上待たなければならなかった。行きもそうだったので、何でこんなに乗り継ぎの悪いダイヤを組むんだと少し憤りを感じたが、別に急いでいるわけではないので、むしろ市街を散策できていいじゃんと思い、暗いけど市街を歩いてみた。
駅を出たときふと夕食の時間だということに気付き、1時間もあれば十分なので食堂を探した。だが、空いている飲食店は飲み屋くらいで、食事が食べられそうな店はなかった。1店くらい空いていてもよさそうなのに、余程需要がないのだろう。仕方ないので、閉店間際のパン屋でパンを買い、駅の待合いでそれを食べた。