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11.厚岸

厚岸

写真:厚岸大橋より町の中心部を眺める


 厚岸は釧路と根室のほぼ中間点にある。厚岸湾の湾内に町の中心部があり、天然の良港に恵まれている。そのため、江戸時代後期に東蝦夷地の守備とアイヌの教化などを目的とした国泰寺が建設され、幕府統治の拠点となった。現代では漁業が盛んな港町で、毎日多くの魚貝類などが水揚げされている。また、付近の厚岸湖と別寒辺牛湿地はラムサール条約で指定されていて、タンチョウなどの野生動物が棲息し、原始的な自然が広がっている。

 厚岸駅前のバス営業所でレンタサイクルを借り、まず厚岸大橋を渡り、海岸沿いを走った。釧路湿原での霧がウソのように晴れ、潮風がとても心地よい。昆布を大量に採ってきた小船が次々と陸に戻ってきていた。漁師たちはせっせと船を陸に上げ、昆布を積みおろしていた。それを見て、漁師さんは大変だなぁと思うと同時に、こんなに一生懸命働いているのに、僕はこうして見知らぬ土地にぶら〜っと一人旅しているのはなんて贅沢なんだろうと思った。

 国泰寺跡に行った。国泰寺そのものは現代風の建物になっているが、門は当時のままで、その扉には葵の紋が描かれていて、今も威風堂々とした趣を感じることができる。この国泰寺跡は国の史跡に指定されている。その他に、厚岸には北海道東部で初めて国指定重要文化財に指定された正行寺があり、そちらは屋根は大正期に変えられた他は当時の姿のままである。北海道では江戸時代に造られた建物はほとんどないことを考えると、厚岸は特異な場所である。

 厚岸の他の名勝として、愛冠岬がある。この地名は、困難を乗り越え愛の栄冠を得るとの思いでつけられたそうだ。ここを訪れると、必ず愛や願いがかなうと言われ、カップルに人気のスポットとなっている。そこにはベルアーチがあり、よくカップルが鐘を鳴らしている姿が見られるようである。僕は、場所的に駅から距離があったことと、1人でそんなところに行っても虚しい思いをするだけなので、行かなかった。

 厚岸の別寒辺牛川では、カヌーに乗ることもできる。ただし、自然保護のためカヌーの乗り入れを制限しているので、事前に予約が必要である。僕は、カヌーなんてあるのを知らなかったので、乗らなかったが。

 少し時間が余ったので、漁協直営の店に行ってみた。厚岸に水揚げされた新鮮な魚が沢山売っていた。素人目で見ても新鮮さがわかり、しかも値段はうちの近所のスーパーの半額以下。サンマはまさにこのときが旬で脂が乗っているし、イカは透き通って見え、本当に美味しそうだったので、お土産にイカとサンマを買った。魚そのものは安かったが、宅配便の料金がかなり高くついた。実際、家に帰った後その魚を食べたら本当に美味しかった。もちろん、その場で食べたらもっと美味しかっただろうけど。

 厚岸といえばカキ。厚岸駅のキオスクで全国的に有名な駅弁「かきめし」を買い、列車の中で食べた。醤油ベースでじっくに煮込まれた大粒でプリプリとしたカキとアサリとツブ貝がごはんの上に乗っていて、コクと旨味がたっぷりでたまらない。なお、予約すれば列車まででも配達してくれるので、厚岸で下車しなくても「かきめし」を買うことができる。


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